二日酔い予防で特許 モズク原料 高分子フコイダン効果
水産加工食品メーカー「海産物のきむらや」(境港市渡町、木村隆之社長)は、モズクから精製した高分子フコイダンの二日酔い、悪酔い予防効果で特許を取得した。飲酒約30分前に飲用することで、飲酒に伴う頭痛や吐き気などの不快な症状の原因となる物質・アセトアルデヒドの濃度が低減されることが研究で分かった。
研究は、鳥取県産業振興機構による2008年度次世代・地域資源産業育成事業として、鳥取大学医学部保健学科の協力で実施。被験者10人(20~60代、男8人、女2人)に対し空腹時、飲酒(日本酒2合を1分以内)30分前に高分子フコイダン30ミリリットルを飲用した場合としなかった場合の呼気と血中のエタノール、エタノールが分解されてできるアセトアルデヒドの濃度を経過時間ごとに測定、比較した。
その結果、10人とも高分子フコイダンを飲用した場合の方がいずれの濃度も低くなり、エタノールは飲酒2時間後、アセトアルデヒドは同4時間後に最も大きな差が出た。年齢や男女による差はみられなかった。
同社開発研究室の阿部直係長(33)は、モズクのぬめりの成分から抽出した、粘性があり鎖状に分子がたくさん連なる高分子フコイダンが胃や腸の粘膜に張り付き、エタノール分子を絡め取ることでアルコールがゆっくりと体内に吸収される-と説明。「二日酔いや悪酔いの予防や軽減に効果があると認められた」と話している。
同社の高分子フコイダン関連の特許は、抗がん剤の副作用抑制効果、胃がん細胞の抗がん作用、O157など大腸菌に対する抗菌性などに次いで8件目。
2015年4月29日(水曜日) 日本海新聞
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きむらや 2特許取得 モズクのぬめり活用 二日酔い、痛風予防
海産物のきむらや(境港市渡町、木村隆之社長)は、モズクのぬめりの主成分「フコイダン」を活用し、飲酒での二日酔いなどの予防効果と、酸性の尿をアルカリ性に近づける効果の2件で特許を取得した。鳥取大学医学部との共同研究で判明。食品の新たな機能性表示制度について、国が本年度中にも創設する予定で、同社は科学的根拠を示しながら、フコイダン製品の販路拡大を図るとしている。
特許を取得したのは「アセトアルデヒド・エタノール低減剤」と「フコイダンを有効成分とする酸性尿改善飲食物および経口投与医薬組成物」の2件。
フコイダン製品を飲んでから飲酒するのと、飲まない場合に比べ、血中と呼気中のエタノール、アセトアルデヒドの濃度がともに低減されることが分かった。「低減剤」は二日酔い、悪い酔いを予防する効果があるとみられる。
酸性尿改善飲食物、経口投与医薬組成物の研究では、フコイダン製品の摂取により、尿のPH値が低いメタボリック症候群患者の酸性尿が改善された。酸性の尿がアルカリ性に近づけば、痛風の予防につながる。
海鮮物のきむらや開発研究室の阿部直係長は「まだ治療が確立されていない病気に対し、フコイダン製品の効果を見ていきたい」と話した。同社は1996年からフコイダンの研究に取り組み、今回を含めて8件の特許を取得している。
2015年4月29日(水曜日) 山陰中央新報
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