「フコイダン」米国で特許 抗がん剤の副作用軽減
鳥取大医学部(米子市西町)と海産物のきむらや(境港市渡町、木村隆之社長)の共同研究チームは、もずくのぬめり成分のフコイダンに抗がん剤の副作用を軽減させる効果があることを突き止め、米国の特許を取得したことを28日発表した。
チームは、同部病態制御外科分野の池口正英教授(62)ら9人。同社は沖縄県伊平屋村でもずくを生産し、自社プラントでフコイダンを抽出している。
チームは、同大医学部付属病院で抗がん剤を使う大腸がん患者を対象に、2008年4月~09年6月に臨床試験を実施。患者20人のうち、無作為に選んだ10人に6カ月間、液体のフコイダン(1回50ミリリットル)を1日3回飲んでもらった。
その結果、飲んだ患者は手足の先のしびれ、吐き気、口内炎、食欲減退、下痢、全身の倦怠感などの副作用のうち、特に倦怠感が軽減されることが分かった。抗がん剤治療は副作用の症状によって使用を一定期間休止することもあるが、飲まなかった患者に比べ「割と続けて抗がん剤が使える」状況も確認された。
池口教授は現在、胃がんでの研究を進めていることを明らかにした。きむらやの三木康成開発研究室長(49)は「アメリカでの展開を検討していく」と話している。
2015年4月29日(水曜日) 山陰中央新報
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フコイダン 制がん剤副作用を抑制 鳥大・池口教授と海産物のきむらや 米国で特許取得
鳥取大医学部(米子市西町)の池口正英教授(62)=病態制御外科学分野=と、水産加工販売の海産物のきむらや(境港市渡町)の共同研究グループは28日、海藻に含まれるフコイダンに制がん剤の副作用を抑える効果があることを立証し、米国で特許を取得したと発表した。大腸がん患者による臨床試験で、制がん剤治療を受ける患者の倦怠感を抑える効果があったという。
フコイダンはモズクやワカメなど褐藻類に多く含まれる成分。グループは2009年、米国と欧州、日本で特許を出願し、今年3月10日付で米国から特許通知が届いた。
池口教授らは08~09年、20人の大腸がん患者に制がん剤を点滴する治療を実施。このうち10人のみに1日3回の食事で、モズクから抽出した液状のフコイダン計150ミリリットルを6カ月間にわたり投与した。
その結果、フコイダンを投与しなかった患者は10人のうち5人が、副作用で全身に倦怠感の症状を訴えたが、フコイダンを投与した患者は誰も症状を訴えなかった。また副作用の軽減により、制がん剤治療を長期間続けられることも確認した。
現在は胃がん患者を対象とした調査に着手しており、池口教授は「フコイダンを用いた治療でどれだけ長く生きることができるのか調べたい」と話している。
共同研究は、「フコイダンが制がん剤によって正常な細胞が死滅するのを防いだ」とする同社の論文に池口教授が強い関心を示し、共同研究契約を結んで07年に着手。患者の増加や制がん剤の効果に注目が集まっていた大腸がんを研究対象とした。
2015年4月29日(水曜日) 日本海新聞
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