もずくフコイダンにインフルエンザウイルスの抑制作用
もずくフコイダンにA型インフルエンザウイルスのプラーク形成阻害作用があることを、株式会社海産物のきむらや(代表取締役社長:木村隆之、本社:鳥取県境港市)と(一財)北里環境科学センターとの共同研究により、実験で確かめました。この結果は、もずくフコイダンがインフルエンザウイルスに対する抑制作用を持つことを示しています。
【研究概要】
インフルエンザの治療薬・タミフルと同じように、もずくフコイダンにもインフルエンザウイルスを抑制する効果があるかを調べるため、培養細胞MDCKを用いた実験を行いました。A型インフルエンザウイルスを細胞に感染させた後、もずくフコイダンを加えた「プラーク形成培地」を用いて細胞の培養を続けました。2日後、「ウイルスに感染して死んだ細胞の跡(プラーク)」を計測しました。異なるフコイダンの濃度を試験した結果を比較しました。その結果、もずくフコイダンは、濃度が高くなるにつれてプラークの形成を阻害することがわかりました。
このことから、もずくフコイダンは、この試験においてインフルエンザウイルスに対する抑制作用を持つことがわかりました。今後、(一財)北里環境科学センターとの共同研究を継続し、フコイダンがどのような仕組みで効果を発揮しているかについて調べる予定です。
<参考資料>
【語句説明】
◆フコイダン
フコイダンは海藻の中でも、もずく、昆布、ワカメ、ヒジキ等の褐藻類に多く含まれている成分である。一部の棘皮動物にも含まれる。
◆A型インフルエンザウイルス
ヒトに感染してインフルエンザを引き起こすウイルスの種類である。直径が1万分の1ミリ程度の球状の構造をもつ。突然変異により、性質が変化することがよく起こる。世界的な大流行(パンデミック)を起こすことがある。1918年のスペインかぜ、2009年の新型インフルエンザは、この仲間のウイルスが原因であった。
◆プラーク
プラーク形成培地を用いて細胞を培養した際、ウイルスに感染した細胞が死滅し、円形の領域ができる。細胞を染色すると、比較的透明な領域として区別できる。この領域をプラーク(溶菌班)という。
◆(一財)北里環境科学センター
北里大学医学部・北里大学病院が所在する神奈川県相模原市のキャンパスに設置されている機関。衛生に関する研究、相談、技術指導等の事業を行っている。北里大学衛生学部環境衛生研究センターを母体として昭和52年4月に発足した。北里大学が擁する幅広い領域の専門家と協力しており、高度な専門知識と技術を有していることが特色である。