近年、「フコイダン」といわれる成分が、抗がん効果、抗癌剤の副作用抑制効果などで注目を集めています。その他、痛風、血栓症、インフルエンザなどに対する効果も検証され、健康食品の素材や化粧品、医療などへの利用に、期待が寄せられています。
もずくなどの褐藻類のヌメリに含まれる機能性成分
フコイダンとは、海藻の中でも、もずく、昆布、ワカメ、ヒジキ等の褐藻類(褐色の藻類)に多く含まれている成分です。他にも、ナマコなどの棘皮動物(きょくひどうぶつ)の一部にも含まれています。フコイダンは、約100年前にスウェーデンのキリン教授によって発見されました。しかし、藻類の種類、部位、採取時期、個体の成長度などによって、化学構造が異なっていることが報告され、そのためにフコイダンの化学構造は、中々解明されませんでした。
5つの糖と2つの硫酸基が、一つの答え
現在でも、全てのフコイダンの化学構造が解明されたわけではありませんが、オキナワモズクのフコイダンの化学構造については、1996年に琉球大学農学部のグループが発表したものをはじめとして、複数の報告があります。これらの報告によると、オキナワモズクのフコイダンは5つの糖(4つのフコース、1つのグルクロン酸)と2つの硫酸基からなる構造をひとつの単位(分子量約1,000)として、繰り返し構造をしていると考えられています。
フコイダン「比較」における問題
このように、フコイダンの化学構造については、まだ明確な基準がないため、どれが良いフコイダンなのか?という判断は難しい場面が多いでしょう。「フコイダン」をインターネットで検索すると、高分子フコイダン、低分子フコイダンなど、様々な名前が出てきます。分子量がいくつであれば、硫酸基がいくらであれば、フコースがいくらであれば、「合格である」といった統一された基準はありません。そのため、指標が各自でバラバラになり、様々な「独自のフコイダン」が氾濫して、選ぶ側としては、とても分かりにくい状況を招いてしまいました。
指標とすべきは、エビデンスレベル
その中で、海産物のきむらやは、指標の一つとして、「エビデンスレベル」を考えました。「もずく」に長年携わった経験を生かし、フコイダンを多く含むと報告されているオキナワモズクに着目して、フコイダンの製造方法を長年研究。やがて平均分子量30万レベルの「高分子もずくフコイダン」を精製することに成功し、これまでに、フコイダンの研究成果で、特許を13件取得しました。自社の発表だけではなく、学術論文、特許など、第三者の目を通して評価の高いものが、信頼のおけるフコイダンといえるでしょう。
しかし、エビデンスレベルの判断は、専門家でなければ、中々難しい部分があります。製造方法、分析方法、安全性、有用性などを総合的に評価した、分かりやすい統一基準が待たれる所です。
特許の取得件数も、信頼へのひとつの目安